セルフの考察

第186回「A子さんとB子さんの会話」の中でセルフイメージのご紹介をしました。
セルフイメージとは、「自分で決め付けている自分」の事です。
これを「なりたい自分」に変える事で、少しずつ望む姿に変わると言うお話でした。

しかし、「自分で決め付けている自分」も「なりたい自分」も良く解らない、と言われる方がいらっしゃいました。
また、自分がどうしたいのか、どうすれば自分に良いか解らないと言う方や自分の事が解らないと言う方もいらっしゃいました。
これらは、セルフイメージの「セルフ」が解らないと言う事でしょう。
今回はセルフイメージの元となる「セルフ」についての考察です。

「self(セルフ)」を辞書で調べると、自分、自己、自身、個性、自我(エゴ)と言った自分自身をさす言葉が並んでいます。
しかし「真髄」「本質」「そのもの」「本性」「持ち味」と言った別の意味もあります。
自分の本質や自分自身そのものってどんなものなんでしょう。

例えば、35歳の独身女性が「早く結婚したいのに縁がない」と言う悩みを持っていたとします。
お話を伺うと「友人や同僚は既にみんな結婚しているし、親や親戚からも早く嫁に行けと言われているから」結婚したいと言われました。
さらに、「35歳で独身なんて、他人から自分に何か欠点があると思われるのではないか、恥ずべき事ではないか」と言う気持ちも持っています。
友人が結婚している、親が結婚しろと言う、他人から欠点があると思われるのではないか、これらは他人の目を通した自分の評価です。(厳密に言えば、他人がそう評価するであろうと考える自分の推測を元にした自分に対する評価。ややこしい^_^;)
じっくり突っ込んでお話を伺うと、将来やりたい事があったり、妻子持ちの男性に片思い中だったり、過去の失恋の痛手から男性不信気味だったりと、自分自身の本音は今すぐの結婚を望んでいない場合が多くあります。
突っ込んだ話でようやく出てきたその人の「本音」が自分の本質、つまり「self」にあたるのですが、当のご本人はその事に気付いていないのです。
普段から「他人の目を通した自分」の姿が自分の本質だと考えていると自分の本音、つまり「self」に気付かなくなってしまいます。
自分がどうしたいのか、どうすれば自分に良いか、さらには自分の事が解らないと言う方の多くはこのパターンを持っているように感じます。
余談ですが、恒常的に「self」に気付かない人の特徴として、他罰的(批評家タイプも含む)、依存的な傾向があるようです。

人の目が気になる人や、内向的なタイプの方は、是非selfを探してみると良いでしょう。
その時は、他人の評価や探し出したselfに対する採点を排除し、事実だけを見るようにしましょう。
自分の個性(特性)、自分の意志、さらには自分が何をどうしたいのか、などを探してみるといろいろな発見があるはずです。

先日、欧米の心理学の教授が「我々はselfを持っているが、日本人はselfと言う観念を持っていない。」と述べたと言う記事をみつけました。
教授曰く、日本人は「周りの人からの評価」を通して自分を知る。つまり、他人の目がないと自分は「ない」ものである。
と言った意味の事を言われていました。
もちろん、selfのあるなしには国民性の違いが大前提としてあるでしょう。
しかし、欧米化した現代の日本では、欧米人のように「self」を持つ事が案外自然な流れなのかも知れません。
[1]週刊ココロコラム
[2]TOPに戻る