負けず嫌い

私の知人は、自ら公言するとても負けず嫌いの人。
どんな些細な事でも競争になると子供のようにムキになり、負けると歯をギリギリさせて悔しがるようなタイプです。
以前四文字熟語の話題についていけず顔を真っ赤にして悔しがっていた彼は、すぐ四文字熟語辞典を買い求め、空き時間に暗記していました。
そして覚えた言葉を自慢げに使っていました。(^_^;)
子供のようにストレートで解りやすい感情と、些細な事でもひたむきに頑張る姿勢は年上の男性ながら微笑ましく感じました。
私自身は一人っ子のせいか、自分がこだわるごく少数の物事以外は勝ち負けすら意識しませんので、常々負けず嫌いの人って疲れるだろうなぁと思っていました。

負けず嫌いのパワーはとてつもなく大きいものです。
一流スポーツ選手をはじめ各分野の一線に立つ人のほとんどが負けず嫌いですし、かの本田宗一郎もビル・ゲイツも超がいくつもつくほどの負けず嫌いと言われています。
こうした方々の負けず嫌いは、自身が掲げた目標を超える事が「勝ち」、超えられない事が「負け」と捉えているのでしょう。
何しろ負ける事が何よりも嫌いな性格ですから、負けない努力・勝つための努力は惜しみません。
負けず嫌いパワー全開で、他人から見れば驚くような努力の末に目標をひとつずつクリアしていった結果が各分野のスペシャリストなのです。
このような負けず嫌いパワーは、「自分を高めるために自分に向けられた」とてもポジティヴな力です。

一方、とてつもなく大きな負けず嫌いパワーが「他人との競争」に向けられた場合はどうなるでしょう。
他人より優位な立場に立つ事が「勝ち」、他人より劣った立場が「負け」と捉えるため、いつも他人と自分との比較観察は欠かしません。
何しろ負ける事が何よりも嫌いな性格ですから、負けない努力・勝つための努力は惜しみません。
プライド、見栄、虚勢、知ったかぶりなどいろいろな手段を使って相手より優位に立とうと努力します。
それでも優位に立てなければ、屁理屈、反発、責任転嫁、逆ギレ、天の邪鬼、嘘などあらゆる手練手管を使って相手を貶め(おとしめ)ます。
これは負けず嫌いパワー全開でも、とてもネガティヴな力です。
さらに、このタイプの方の多くは自分でそれを気付いていません。と言うより、実際は認めたくないために無意識に気付かないようにしています。

ポジティヴな負けず嫌いパワーは、その力を自分を充実させるために使っています。
しかし、ネガティヴな負けず嫌いパワーは、その力を他(他人)に使っていますので自身はパワー不足となります。
その上、他人にあの手この手でネガティヴなパワーを照射しているため、他人から嫌がられ円滑な対人関係を築く事が困難です。
お陰でいつも大小様々な揉め事を抱えているかもしれません。

もうひとつ。ネガティヴな負けず嫌いタイプの方は、自分自身の内面を顧みず、どんな些細な事でも他人との勝ち負けばかり気にしているため、いつも心に余裕がありません。
そのため他の人に比べてストレスが溜まりやすく、うつ病や心身症、神経症などになりやすいとも言われています。

負けず嫌いの気質を持つ人は、とても強いパワーを秘めています。
後は、そのパワーの使い方次第ですね。
[1]週刊ココロコラム
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