対処能力・その2〜評価の違い〜

前回は、主にストレッサーについてご紹介しました。(読んでない方はその1から読んで下さいね。)
※この連載で扱うストレスやストレッサーは一般的に呼ばれている(ネガティヴな)ストレスを指します。

ストレッサーとはストレスがたまる要因や原因と前回ご紹介しましたが、厳密に言えば異なります。
例えば、プールで100m泳がなければいけない場合、水泳が大好きな人は泳ぐ事は楽しいですからストレスにはなりません。
久し振りにいい運動になるなと思う人もストレスには感じません。
しかし、泳げない人や水の苦手な人はとても強いストレスとなります。
泳げない人や水の苦手な人にとっては「100m泳がなければいけない」はストレッサーですが、ストレスを感じない人にとってはストレッサーではありません。
このように、個人が「その出来事や状況をどう解釈するか」によって精神的なストレッサーが生じます。
そのため同じ出来事や状況におかれても、個人によってストレスの度合いが異なってくるのです。
ストレスを決定付けるのはストレッサーではなく、個人の捉え方である事は案外忘れられている事かも知れませんね。

各個人のストレッサーの捉え方を心理学者ラザルスは「(認知的)評価」と名付けました。
「評価」は2種類あります。
まず、ストレッサーが自分にとってどれ位ネガティヴなのかその影響度や脅威性を評価します。これが一次的評価です。
一次的評価がネガティブで重大であるほど不安、怒り、恐怖、抑うつなどのネガティヴな感情が湧いてきます。
次に、そのストレッサーを軽減・改善・解決出来るような統制が可能かどうかを評価します。これが二次的評価です。
統制が可能だと評価すれば、一次評価で湧いてきたネガティヴな感情も軽減されます。
可能でないと評価すれば、一次評価で湧いてきたネガティヴな感情がさらに強まります。

一次的評価は、その状況から生じる要因やストレッサーと感じた個人の捉え方(性格・気質傾向も含む)が関係しています。
根本的にストレスを感じにくくするには、個人の捉え方や考え方を変える必要があるでしょう。
二次的評価は、その個人が持つストレス対処能力が関係しています。
ラザルスは個人のストレス対処能力を高める事がストレス軽減に重要であると説いています。
次回はこの連載の本題、ストレス対処能力についてご紹介します。


付録:捉え方によりストレスが溜まりやすい性格・気質傾向は次のようなキーワードが挙げられます。

競争心旺盛、我慢強く感情を押し殺す、几帳面、野心的、依存的、落ち着きがなくせっかち、情緒不安定、神経質、何事にも白黒つけたがる、思い込みが強い、すぐにイライラする、自己中心的(わがまま)、価値観が常に他者との比較、自分の内面に対して関心が低い、嫉妬深い、潔癖、自己否定・自己評価が低い、自己犠牲的、常に焦りがある、周囲に気遣い自分を出さない、責任感が強い、対人関係において常に優位に立とうとする、お金や物が中心の価値観、計画を立てその通りに行動しようとする、マイナス思考、負けず嫌い、執着心が強い、何事もすぐに決め付ける

キーワードに複数あてはまる人は次回を是非読んで下さいね。(^^)
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