対処能力・その4〜まとめ〜

私達が主に「ストレスがたまってる」と言うのは、日々少しずつたまる「デイリーハッスル」を指しています。
デイリーハッスルは、その1でご紹介したように、これと言ってすぐ思いつかないような日々の些細な出来事の積み重ねとなるため、ストレスの原因に気付きにくいです。
ストレスに気付かないまま過ごしていると、そのうち楽しいと思えない日々を送っている自分がいる事に気付くでしょう。
鬱積した不満やいらだちの原因が何なのかがはっきりと解らないため、漠然とした不安を抱き、自分の将来についても明るい展望が持てなくなるかも知れません。

このデイリーハッスルに気付き、その都度コーピング・スキルを使ってストレスを軽減したり、ストレスの原因を取り除く事が出来れば、ストレスは十分軽減出来るでしょう。
そのためには、些細な出来事であっても、その時自分がどんな感情を抱いたのかを自分自身で気付く事が大切です。
特に真面目なタイプの方は、「嫌だ」と感じていても観念や常識がその感情を「いけない事」と決めつける事で、本人に「本当の感情」を気付かせないように心の奥深くにしまいこむ傾向がありますので、より気付きにくい場合があります。
何か嫌なのか、どんな事に対して不満を感じているのか、どういう事が不快に思うのかなど、自分の感情と向き合う姿勢を持つ事は、ストレスの要因や原因を知り、対処するためにはとても重要だと考えられます。
ストレスの原因や要因を知り、そして自分の感情を知る事で、問題解決の糸口を考える事が出来るようになります。
それが「問題焦点型」コーピング・スキルとなり、ストレスそのものを低減させる事が出来るでしょう。

デイリーハッスルに気付いたとしても、親子間の問題などストレスがたまる環境や状況がどうしても変えられない場合があります。
そんな時は、「情動焦点型」のコーピング・スキルを上手く使うとストレスは軽減されます。
特に、ポジティヴな捉え方や楽観的に考える事をお勧めします。
また、対人関係でストレスがたまる場合も同様に、ポジティヴな捉え方や楽観的に考えるコーピング・スキルを使う事で別の効果も期待できます。
考え方や捉え方がポジティブになれば、表情やしぐさ、行動も変わってきます。
それが相手に与える良い印象となり、相手の態度も変わる傾向があります。
また、無理矢理にでもポジティヴな捉え方を続けていると、今度はストレスに対する「(認知的)評価」が良い方向に変わる可能性が期待できます。
そうなると、次第にストレッサーそのものが少なくなるでしょう。

この連載では、ストレスの種類とストレスをどう対処するかまでを詳しくご紹介しました。
最後に、ストレス(ストレッサー)とは、状況や環境や他人、つまり自分以外のものが作り出しているのではありません。
状況や出来事を、自分がどう受け取るか(評価)と、自分のストレス対処能力(コーピング・スキル)によって作り出しているのです。
[1]週刊ココロコラム
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