自然体

自分が自分らしく生きていると実感できず、何か違和感を感じながら日々の生活に追われている人は結構多いと思います。
(生きる姿勢が)自分らしく自然体が一番、と思っても自分のどこをどうすれば自然なのかを考えると解らなくなってくるかも知れません。

全ての人は元々優しさや思い遣り、深い慈しみや愛情を持っています。
全ての人は元々正直で素直で、善い事をしたい、人の役に立ちたいと思っています。
しかし、生育環境や今日に至るまでの様々な経験の中で誰しも傷付いたり辛い思いを学習してきました。
人は賢い動物ですから、次に同じような事があっても自分を守れるようにいろいろな防御方法を会得していきます。

虚栄心の強い人や殻に閉じこもった人は、他人に本当の自分を見せると低く評価され傷付くのではないかと恐れ、それを防御するために本当の自分を出しません。
卑屈な人は、他人から自分を低く評価されると強く傷付くので、最初から自分を低めて相手に高評価を得ようと予防線を張ります。
他人との関わりを避ける人は、人から愛されていないと感じると強く傷付くため、最初から人との心の交流をなるべく避ける防衛方法をとっています。

上記は一例ですが、このような防御は自分の心を健康的に保つために必要不可欠です。
また、心の動きは無意識的に防御するように機能しますので、何を防御しているのか意識出来ない傾向があります。
しかし、心が傷付くのを懸命に防御しているうちに、元々の心の動きではなく防御自体が「主」となり、結果として個人のパーソナリティを形成します。
そして、防御する心と防御される心に「ズレ」が出てくる場合があります。

例えば、愛情を失うと強く傷付くため、最初から人との心の交流をなるべく避ける防衛方法をとっている人は、実は人一倍愛情を強く求めているのです。
心の底では強く愛情を求めているのに、実際には愛情を避ける真逆の行動をとっています。
このように、自分の意識的な心の動きや考えや行動は、必ずしも自分自身の本心ではない場合があります。
それが自分らしくないとか、違和感を覚えると言った感覚につながります。

自分らしい自分や自然体の自分になるためには、自分がどんな防御方法を主に使っているのか、何を防御しているのかを知る事が大切です。
そのためには、他人の目(他人からの自分の評価)を気にせず冷静に自分と向き合う姿勢が重要になってきます。
自分と向き合い、心の弱い部分をみつけたらそのまま肯定的に受け入れましょう。
人間は弱い生き物なのですから。

自然体とは、自分の心に正直でいる事、自分の弱さを受け入れている事、そして他人と比較したり他の事象に左右されない自分でいる事、なのではないでしょうか。
[1]週刊ココロコラム
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