医者と患者

精神的な疲労や強いストレスが長く続くと、不眠や様々な体調不良など健康にもネガティヴな影響が出てきます。
内科で検査をしても、具体的な原因がみつからず、体調不良からさらに精神的に落ち込んでいくと言った悪循環も少なくありません。
様々な不調は精神的な面から来ているのではないかと思っても、精神科や心療内科に行くのはなかなか勇気がいる事です。

辛い精神状態や体を奮い立たせ、勇気を出して近所の精神科や心療内科に行っても5分も問診せず精神安定剤や睡眠導入剤を出して終わり、と言う病院があります。
他にも、ガイドラインとなる診断をせず症状を簡単に聞くだけで重篤な病名を告げたり、逆に病気じゃないと追い返したり、治らないと断言する所もあるそうです。
トラウマが原因で精神面・体調面に不調を来たしている方が、いきなり退行催眠をされ、ショックでしばらく寝込んだと言う話も聞きました。
他にも、薬を出すだけの精神科に7年通ってもうつ病の状態は変わらず、別の病院に行ったらカウンセリングやいろんな療法と薬を併用して1年で会社に復帰できたと言う話も聞いた事があります。

きちんと診断をした上で状況に応じた※インフォームドコンセントがあり、本人に適切な薬物療法と精神療法を行う病院もたくさんあります。
実際には病院や担当医との相性の良し悪しもありますが、自分にとって良い病院(或いは担当医)かどうかは病院に行ってみないと解らない現実があります。
担当医や病院が納得できず、次々と他の病院へ回るドクターショッピングを繰り返す方も多く、その結果医者を信頼出来ず医師の指示に従わなくなり、長い期間症状が改善されないままと言う人もいます。

一方、病院側から見ると、診断基準を満たさなかったため「うつ病ではありませんよ。」と告げても、本人が頑なにうつ病だと思い込んでいる患者さんや、過去にうつ病と診断された事で体調不良の全てがうつ病のせいだと信じて疑わない患者さんも多いそうです。
また、精神的な疾患(特にうつ病)に多い症状「やる気が出ない」「落ち込む」「疲れがとれない」「眠れない」などは、どんな人でも経験する事です。
症状が病的レベルなのか一般的レベルなのか、本人がどの程度に感じているのか、本人がどこまで症状をきちんと医師に伝えているか等、本人の主観的感覚によって程度が違う症状を第三者である医師が初診ですぐ判断するのはとても難しいのです。
そのため、初診で「辛い、しんどい」と泣き出す患者には精神安定剤を出す事しか出来ず歯がゆい思いをしている医師も少なくないでしょう。
実際に「医者の自殺」が一番多いのは精神科の医師だそうです。

患者と病院双方の立場を考えると、複雑な気持ちになります。
精神科や心療内科に行く時は家族など近しい人と必ず一緒に行きましょう。
周りに気遣って精神的な症状を隠していたり、こっそりひとりで病院に行く方が結構多いですが、家族や近しい人達のサポートは病院選びに置いても治療に置いても重要です。
先にお話したように、ひとりで病院に行って精神的に打ちのめされてしまう事もあります。
病院に行こうかと考えている人は、是非家族や近しい人と一緒に行く事を考えてみて下さい。

※インフォームドコンセントは、医師が患者に対して病状や治療方針などの説明を行い患者の合意の上で治療を行う事を指しますが、精神疾患の場合、患者によっては説明する事で大きなショックを受け病状が悪化する場合もあります。
そのため、状況に応じて家族にだけ説明をし、本人には知らせない場合もあります。
[1]週刊ココロコラム
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