今時の言葉

一時期、女性を中心に多くの人が語尾上げをしていました。
語尾を上げられる度に返事をしないといけないような雰囲気になり、話を聞いている側としてはとても疲れます。
語尾上げの心理はいろいろ言われていますが、一番の要因としては「相手の注意を自分の話にひきつける」です。
他には、自分の話に自信がないため、話の途中でも相手の同意が得られないと不安を感じるとも言われています。
語尾上げ以前から、今でも時々耳にする「あのぉー、私がぁー」と語尾を伸ばす喋り方も同様の意味合いがあります。

「昨日焼肉を食べに行ったんだけど。うん。凄く美味しかったよ。うん。」と言葉の最後に必ず「うん」がつく喋り方をする人も時々見かけます。
「昨日焼肉を食べに行った」は嘘ではないので「肯定文」と考えられますが、さらに肯定の意味合いである「うん」がついています。
話を聞いている方は「うん」と言われる度にいちいち念を押されているような印象を受けるため、なんとなく不快な気持ちになります。
これは、自分の言葉に対し自分で肯定して相手からの攻撃(この場合は自分の言葉に対する否定的な発言)をあらかじめ防御していると考えられます。
間違った事が許せず、自分が否定される事を極端に嫌うため弱みを見せたくない深層心理から来ています。

「〜じゃないですか。」と言う言葉を、主に自分より目上の人に対して多用する人も結構います。
「私、○○大学じゃないですか。」等と言われると、人によっては「それくらい自分で解らんのか。俺に聞くな(怒)」と不愉快な気持ちになるかも知れません。
「じゃないですか」は一見、丁寧な言葉で婉曲な表現のように感じる人もいるかも知れません。
しかしこの言葉は本来、自分の主張を強調し断定するために、主張と反対の内容を疑問の形で述べる「反語」の表現です。
(反語の一例:「あの人がそんな事するだろうか」→本当の主張は「あの人はそんな事する筈がない」)
本人は丁寧なつもりでも、自分の主張を抑えた表現だと思っていても、受け取る側は強い自己主張と丁寧な言葉が慇懃無礼に感じる場合もあるのです。

口癖のように「微妙」「〜みたいな」「〜的な」「〜とか」を連発する人や、自分を他人事のように「××な人だから」と言う表現も良く聞かれます。
これらは「ぼかし表現」と言われています。
曖昧な表現を使う事で断定を避け、自分の主張をはっきりと解らないようにぼかすための表現なのです。
「それって私的にありみたいなー。ってか微妙。」
こんな風にぼかし言葉を多用されると、聞く側にとっては結局何が言いたいのか解らずイライラする場合もあるでしょう。

このような口癖や話し方はいわゆる「若者言葉」の範疇に入ります。
やや乱暴ですが、これらの言葉の裏にあるもの推測してみましょう。
ネガティヴな推測「自分の主張を強引に同意させようとするが、自分の主張が元で責任を負うのは避けたい昨今の若者意識の現われ」
ポジティヴな推測「昔と比べ自己主張の強い欧米的なコミュニケーションに変化し、それに伴いきつい印象を与える断定を避けるためぼかし表現が併用されるようになった」
どちらもあるかも知れませんね。

口癖や喋り方の傾向は自分で気付きにくいものですが気付いて意識すれば変えられます。
出来れば「TPOに合わせて話し方を変えられる」器用さが欲しいものですね。(^_^;)
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