団体・その3

前回からの続きです。
団体の中に入って、どっぷりつかってしまう人の傾向をご紹介しました。
今回はもうひとつの要因をご紹介します。

「教室」に足繁く通っている人達の共通する意見は、この団体の人達はとても優しくて親切と言う事です。
カルチャースクールをはじめとした集団や団体にありがちな、途中で入った疎外感などは全く感じられず、誰でもすぐに団体の一員になれるそうです。

対人関係が上手く行かない人や、自らの心を他人になかなか開けず自分で友達を作る事が出来ない人、いじめに遭っていたりや愛情のない家庭環境にいる人などは、普段から誰かと一緒にいたい気持ち(親和欲求)を持っています。
また、自分の置かれている状況に対して不安を抱いている人も、その不安を和らげるために誰かと一緒にいたい気持ちが強くなります。
「誰か」は誰でも良い訳ではなく、自分を認めてくれて愛情や安らぎを与えてくれる「自分の味方」を欲しているのです。

一方、団体は「金」と「労力」を欲していますので、新しい人はいわば葱を背負ったカモでしょう。
そのため、新しい人をあたたかく受け入れて1人でも多く「完全な仲間」にするように指導します。
詳細は後述しますが、所属している人はとても従順ですので半ば強迫的にその通り行動しようとします。
それが「この団体の人達はとても優しくて親切」につながるのです。

誰かと一緒にいたいと強く思っている人が、歓迎され優しく親切にされ、労せずすぐに居心地の良い対人関係が構築できる所に行けば、誰しも「自分の居場所」を得た感覚になるでしょう。
団体の中にいれば欲求が満たされ安心感を得るため、どんどんのめりこんでいきます。
高額なレッスン代をはじめ団体に対して何か不自然さや理不尽さを感じたとしても、せっかくみつけた「自分の居場所」がなくなる事を恐れ、(無意識的に)自分の都合の良いように解釈して受け入れます。
このように、団体の教義や理念などに惹かれたから団体にいるのではなく、自分にとって居心地の良い場所を手放したくないがために団体に従順になり所属している人も多いのです。

集団の中にいる人は、それぞれメンバー同士で志向や行動を統一しようとする「同調」が働きます。
同調は集団内の暗黙のルールや期待となり、それに沿った行動をとろうと働く「集団圧力」がかかります。
特に「自分の居場所」がなくなる事を恐れる人は、誰よりも同調しようとします。
団体からの指導を完遂しようとする人が集団のメインメンバーならば皆がそれに同調し、その集団全体が団体の手足となり「金」と「労力」を集めるために尽力します。
また、それが結果的にマインド・コントロールになっている場合もあります。
団体はこのような同調や集団圧力をたくみに利用しているのです。

次回は、どうすればこのような団体にどっぷりはまらないかを考察します。
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