偏見

先日、少し前に結婚した友人と話をしました。
新婚生活は楽しいかと気軽に尋ねたら「義理の母親と上手く行かず辛い思いばかりしている。」
と彼女は沈んだ調子で話をはじめました。
「義理の母親は近所に住んでてしょっちゅう来るんだけど、上から嫌味ばっかり言うし、親戚や近所の人にある事ない事私の悪口言いふらすの。」
彼女はお義母さんの悪行を憎々しげに話してくれました。
彼女の側からの一方的な話でしたが、冷静に聞いているといろんな面が見えてきました。

姑は先輩主婦として忠告や助言をするが、「溺愛する息子を盗った嫁」を元々快く思っていないのでついキツイ口調や嫌味っぽい言葉になってしまう。
嫁は姑の口調や言葉から「姑の嫌味」としか捉えられず不愉快な態度が表面に出てしまう。
姑は嫁の態度を見てさらに嫁を快く思わず、親戚や近所の人に愚痴を言う。
姑の愚痴を間接的に聞いた嫁は「ある事ない事私の悪口を言われた」と思い、姑に嫌悪感を抱く。
こんな「忠告」→「嫌味」→「悪い態度」の悪循環で嫁姑の関係が悪化しているようでした。
仲が悪くなった夫婦や家族はこんな悪循環を抱えている事が結構ありますね。

「お義母さんの性格が異常過ぎる。あの人絶対分裂症か人格障害だよ。」
これを聞いて私はカッとなってしまいました。
「医者でもないのに勝手に決めつけるなんて、いくら何でもお義母さんに対して失礼過ぎる。あなた統合失調症(分裂症の事)や人格障害の専門知識持ってるの?診断基準知ってるの?」
「……(私の豹変に驚く)」
「それはお義母さんに対する偏見と病気に対する偏見だよ。もしおかしいと思うならお義母さんを病院に連れて行ってきちんと診断してもらえば判る事でしょ。もし病気や障害だったら周りも辛いけど本人が一番辛いんだよ。」
「……(意気消沈)」
私の剣幕に彼女のテンションは一気に下がってしまいましたので慌ててフォローしました。(^_^;)感情的なのは私の方でしたね。

一度偏見を持ってしまうと、次から偏見を通した見方しか出来なくなります。
彼女の場合、姑がどんなに良い助言をしていたとしても「精神的な疾患だから異常」と言うフィルターを通してしか見る事が出来なくなる訳ですから、姑とのさらなる関係悪化は想像に難くありません。

誰でも程度の差はあれど何がしかの偏見は持っているものです。
頭ごなしに偏見は悪だと決め付けられませんが、偏見のせいで思わぬ損をしているかも知れません。
例えば、(大人が)若者に対する偏見を持っている程、今の世情に疎くなるでしょう。
例えば、異性や恋愛に対する偏見を持っている程、恋愛対象になる異性が減るため、その分素敵な出会いのチャンスを逃すでしょう。
もしかすると、偏見は自分の首をゆっくり絞める縄なのかも知れませんね。
[1]週刊ココロコラム
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