八方美人のホントの所・その2

前回は八方美人が何故好かれないかについて考察しました。(読んでいない人はその1を読んで下さいね)
AさんとBさんの相反する意見にどちらも同調した八方美人さんですが、実は悪気も悪意もありません。
それぞれの意見に対して、その時本当に「そうだな」と思ってる、或いは「そうだと思わなければ」と思い込んでいるだけなのです。
それぞれに同調するのは、もちろん策略でも戦術でもありません。
それどころか、八方美人さんの多くが同調する事で生じる矛盾すら計算出来ません。
ですから、AさんがBさんの悪口を言っても八方美人さんは同調しますし、BさんがAさんの悪口を言っても同調します。
こうなってくると対人関係が非常にややこしくなるのは明白ですね。(^_^;)
ほとんどの八方美人さんは、人に同調して穏やかなその場の空気を作る事に多大な神経を使っています。
他人に対して心を砕いて神経をすり減らしているのに、その結果他人と上手く行かないのは何故なのでしょう。

八方美人さんはみんなに好かれたいと思っています。
正確に言えば、他人から嫌われる事(拒絶される事)に不安や恐怖を感じるため、強迫的に「みんなから嫌われたくない」と言う気持ちを持っています。
嫌われる事自体が恐怖なのですから、大好きな人であろうが、自分が快く思わない人であろうが、ほとんど知らない人であろうが「嫌われたくない」気持ちは同じです。
相手と自分との意志や意見が異なると嫌われるのではないかと感じるため、自分の意志や意見を抑えて相手に同調します。
また、極力相手に気に入ってもらえるような言動をしようとするため、自分の本意ではない言動をする事もあります。
相手が自分に何か期待していればそれに応えようと必死になりますので、頼まれ事はどんなに負担でも断れません。
このように、その時その時に「目の前にいる人」に対し、心を砕いて神経をすり減らしてあらゆる嫌われないための努力をします。
これが人によって意見が違う矛盾の原因でしょう。

人間が大好きで誰にでも優しい人は他人から八方美人とは呼ばれませんし、嫌われる事は少ないでしょう。(こういう人を八方美人と呼び嫌うのはやっかみや嫉妬からですね。)
八方美人さんとの決定的な違いは次の例でなんとなくニュアンスが解るのではないでしょうか。

「マラソンで1着になれば欲しかった家電が貰えるから一生懸命走る」
「人を襲う凶暴なライオンが追いかけてくるから一生懸命走る」

どちらも「一生懸命走る」のは同じですが、その動機が違います。
欲しかった家電が貰えるのはとても楽しみですが、もし1着になれずに家電が貰えなくてもさほど困りません。
一方、ライオンに追いかけられている方は恐怖感がいっぱいで心の余裕などありませんし、万が一ライオンに追いつかれたら命がありませんから死に物狂いで走ります。

人間が大好きな人は「人が大好き」で人と接しています。
八方美人さんは「人から嫌われたくない」気持ちで人と接しています。
どちらも「人と接する」のは同じですが、その動機が違います。
人間が大好きな人は他人と過ごすひと時が楽しみですが、もし相手が自分の事を嫌ってもさほど困りません。
一方、八方美人さんは他人と過ごすひと時は「嫌われる恐怖」がいっぱいで心の余裕などありませんし、万が相手に嫌われたら恐怖と不安に苛まれますので死に物狂いで嫌われない努力をします。
その必死な努力の結果が「他人と上手く行かない」なんて、なんだか骨折り損のくたびれ儲けで虚しいですね。 次回に続きます。
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