セックスレスを考える・その1

日本は先進国の中で唯一、HIV感染者・エイズ患者が増加している国です。
さらに近年、若者を中心に性感染症が増えているそうです。
子供への性教育がきちんと確立されていない割りに、現代はインターネット等からセクシャルな情報が子供でもたやすく手に入れる事が出来ますから、偏った性的知識や倫理観を持つ若者がいても不思議ではないのかも知れませんね。

一方、恋人同士や夫婦間ではセックスレスが増えていると言われています。
セックスレスとは、日本性科学会で「特殊な事情が認められないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシャル・コンタクトが一ヶ月以上なく、その後も長期にわたることが予想される場合」と定義しています。
セックスレスであっても、パートナーが互いにSEXがなくても良いと合意している場合は、2人の間で問題にはなりません。
別れや離婚等に発展する問題を孕んでいるのは、パートナーのどちらかが求めているのに、一方が拒否する場合です。

日本性科学会の阿部輝夫氏によると、セックスレスになる原因の大多数は性機能障害(FSD/MSD)にあるそうです。
性機能障害とは性欲、勃起、性交、射精、極致感のいずれか1つ以上が欠けるか不十分な状態を指します。
いくつか性機能障害をご紹介します。

■勃起障害(勃起不全/ED)
原因は精神的なもの(心因性)の他に、加齢、他の病気の影響、血管や神経や内分泌(ホルモン等)の場合や、薬物・アルコール・喫煙などの外因性もあります。
原因が心因性に限らず、過去の失敗の記憶から「また失敗するのではないか」と不安を抱き、緊張して上手く行かずに失敗を繰り返すと言ったパターンも見られます。

■性交疼痛症
性交時に痛みがあるほぼ女性の症状です。
加齢や婦人科系統の疾患から痛みを感じる場合もありますが、その原因の多くは過去の性的体験やトラウマ、妊娠・出産等での痛みの経験等から来る心因性です。
痛みからSEX自体を苦痛に感じるようになる傾向があります。

■性欲低下障害
原因は過労や過度なストレス、慢性疲労、精神的なもの(心因性)、内分泌(男性ホルモンの低下等)、加齢などが挙げられます。
男性の場合は勃起障害を併発している傾向があります。

■性嫌悪障害
性行為に至る以前にセクシャルな雰囲気や性的な接触を嫌って(恐怖や不安が生じて)回避しようとします。
ほとんどが心因性で、過去のトラウマや性的な観念、パートナーの浮気、などが挙げられます。
夫婦間では、男女の仲から「パパとママ」の関係に変化し、身内感覚が強くなる分、性の対象ではなくなり生理的に受け入れられなくなるパターンが多いです。

これらの状態、或いは症状が出ている場合、そのままでは改善されません。
しかし「性=秘め事」と言う観念や恥かしい気持ち等もあり、問題解決に真正面から取り組もうとする人は少ないでしょう。
必ずしも障害を直す必要はないでしょうが、パートナーとの関係性の悪化や離別、場合によっては自分自身の精神面にネガティヴな影響が出る可能性がない訳ではありません。
性機能障害は泌尿器科、婦人科、心療内科が対応していますが、最近は専門外来なども出来ていますし、少しずつ治療が確立されてきていますので、悩んでいる方は思い切って病院やカウンセリングに行ってみると良いでしょう。
[1]週刊ココロコラム
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