コントロールドラマ

随分前に出版された「聖なる予言」(ジェームズ・レッドフィールド)と言う本があります。
物語の体裁をとっていますが、人生を前向きに生きる智恵にあふれたスピリチュアルの入門書のような良書です。
いくつかある智恵の中でも、誰でもなんとなく納得できるのではないかと思われる印象的な内容をご紹介します。

対人関係が上手く行かないとか、人と人の対立や争いが起こるのは、人の持つエネルギーを得る、或いは奪い合うからです。
(個人的な見解ですが、エネルギーと言う言葉を「注目」「主導権」「支配」に変えると、より解りやすくなると思います。)
そして、誰しも他人のエネルギーを得ようと、無意識で行ってしまう行動パターンの癖があります。
その行動パターンとは、自分にとっての「役割」に支配されたもので、コントロールドラマと呼ばれています。
4つのタイプがあり、状況等によって複数のパターンを使い分ける事もありますが、誰しも主要なタイプを1つは持っていると言われています。

■脅迫者タイプ
相手を脅して怖がらせる事でエネルギーを得ようとする
【特徴】傲慢、自己中心的、横柄、他人を拒絶、利己的、支配的、すぐ怒る、暴力的、短気

■尋問者タイプ
相手を問い詰めたり間違いを指摘してエネルギーを得ようとする
【特徴】猜疑心が強い、理屈っぽい、皮肉屋、詮索する、完全主義、自分が一番正しいと思う

■傍観者タイプ
人と距離を置き、他人が近付きにくい雰囲気を誇示してエネルギーを得ようとする
【特徴】無関心、責任から逃れる、協調性に欠ける、自分の考えや感情を見せない

■被害者タイプ
常に悲劇の主人公となる事でエネルギーを得ようとする
【特徴】被害者意識が強い、愚痴・不満が多い、悲観的・マイナス思考、否定的、自己価値が低い

コントロールドラマは、子供の頃の環境、特に養育者との関係性によって主要なパターンが形成され、その後の人生の中で繰り返す傾向があります。
例えば、親が脅迫者タイプで恐怖や暴力で子供のエネルギーを奪い取っている場合、子供は尋問者タイプのようにあれこれ質問をしてもエネルギーを取り戻すことは出来ません。
脅迫者タイプにしても、子供より親の方が強いためエネルギーを取り戻せません。
そこで、被害者タイプとなり親に罪悪感を感じさせようとしたり、距離を置いて傍観者タイプになったりして、バランスを取りエネルギーを取り戻そうとします。
家庭の中で自分の役割を見つけ出し無意識に演じ、それが癖となってその後もパターン化して繰り返してしまうと言う訳です。

このような成り立ちで身につけたコントロールドラマの4つのタイプは、それぞれ内面に不安を抱えています。
自分をかまってくれない、自分を必要としてくれていない、自分を置いていかないで、自分を気に留めて欲しい…等々
タイプは異なっても、根っこは「愛が欲しい」「自分を認めて欲しい」です。
誰しも、条件付の愛情やギブアンドテイクの愛などではなく、自分の存在を無条件で受け入れてくる真実の愛が欲しいのです。

コントロールドラマの呪縛から自由にならない限り、その後の人生の中で繰り返し続け、自分が親になった時、コントロールドラマを子供に対して演じます。
つまり、エネルギーの奪い合いが受け継がれ、対人関係のトラブル等はなくならないと言う訳です。
自由になるためには、自分の子供の頃の生育環境を思い出したり、自分で自分を冷静に観察してどのタイプなのかに気付く事から始まります。
そして、そのパターンが自分の無意識な行動パターンの癖であると意識する事で、自分の行動パターンが少しずつ変わって来るでしょう。
最終目標は「無条件の愛」のやりとりですが、これが難しくて出来ないからこそ誰しも悩むんですけどね…。(^^;
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