心のある場所

私達の心は、体の何処にあるのでしょうか?
科学が発達した現在ですら諸説あります。しかしどれも確証はなく結局は謎のままで解明されていません。
今回は心のある場所についての考察です。

古代ローマ時代にアリストテレスは「心は心臓にある」と説き、プラトンは「心は脳にある」と説いています。
古代エジプト人は心臓と子宮、ユダヤ人は肝臓、インド(バラモン教)では頭と考えられてきました。
そして、18〜9世紀頃、現在に続く西洋医学で脳と精神が深い関係である事が判って来ました。
一方日本は、「やまとことば」で「ココ」が心臓の鼓動、「ロ」が場所を現すそうで、心臓を心の臓器と書く事からも「心は心臓にある」と考えられていました。
1995年に科学雑誌が心のある場所のアンケートを行いました。その結果少〜高校生は78%、大学生が54%もの人が心は「脳以外の場所」にあると回答しています。では何処なのかと言うと多くが胸とその周辺と答えています。
現代は、人間の司令室である脳に心があるのではないかと考えられています。
それでもなお、多くの人は心の場所を聞かれて頭ではなく胸の辺りを指し示すのです。

以前あるテレビ番組で、心臓移植をした人の趣味嗜好が突然変わり、調べた所移植した心臓の持ち主の趣味嗜好だった事例を挙げていました。
それまで脳にしかないと考えられてきた神経ネットワークと同じような器官が心臓にもある事が発見され、心臓も脳と同じように過去の記憶が保存されている可能性があるとも言っていました。
そのために移植された人が元々の心臓の持ち主の記憶を持ってしまったのではないかと番組では結んでいました。
他に、肝臓移植をした人にも同様に以前の肝臓の持ち主の記憶を持ってしまったり性格が変わる事例があるそうです。
肝臓では脳の神経ネットワークを行き交う神経伝達物質を作っています。そのために肝臓が変わる(移植される)と情報交換をする元の物質が変わるからではないかとされる説です。
また、人間を形成する細胞ひとつひとつの中にある器官の物理的変化が心の元であり、その結果体中に心があるとする説もあります。

私も記憶や感情を司る脳に心があると考えるのが自然だと頭で思いつつも、心を指し示すのは胸ですね。
心が体の何処にあるのか、もしかしたら体以外の所にあるのか是非知りたいものです。
最後に、「心は心臓にある」と説いたアリストテレスは、「感覚でとらえられるものこそが実体である」とも説いていたそうです。
この説は良く考えると大変深いと思いますが、真実のひとつかも知れませんね。
[1]週刊ココロコラム
[2]TOPに戻る