音痴

私の知人で、絶対カラオケに誘っても行かない人がいます。
以前飲み会の流れで、無理矢理連れて行かれた事がありましたが、マイクを渡しても絶対手に取りません。
あまりひつこく歌えと言われたら、隙を見て内緒で帰ってしまいました。
後日、その人に「なぜ歌わないの?」と尋ねたら「小学生の頃、音楽の先生に『音痴』と言われたから」と答えました。
他にも歌が嫌いな人が居て、その人は「小学生の時、合唱で自分が足を引っ張るからとパートを変えられた」と答えました。
自分が出せる音域が合わない歌を歌えば誰でも声が出なくて下手クソになりますし、子供の頃なので声変わりの頃だったかも知れません。
歌は訓練すれば誰でも必ず上手になります。
ろくに訓練をしていない子供に「音痴」だと宣言をした事で、その先の歌を歌う楽しみを奪い、コンプレックスを植えつけてしまったのですから、この2人の音楽の先生はなんて罪な事をするのだろうと思いました。

音痴は「音を正しく認識できない」パターンと「音を正しく再現できない」パターンがあるそうです。
前者は感覚性音痴と呼ばれ、音を聞いても理解したり記憶が出来ない状態で、リズムも狂う事が多く、自分の歌が音痴だと気付きにくいタイプ。(まるでドラえもんのジャイアンですね。)
後者は運動性音痴と呼ばれ、音を理解出来ていても自分の歌声で再現出来ない状態で、自分の歌が下手クソなのが解ってしまうタイプ。
自分が音痴とか歌が下手とコンプレックスを感じているのは後者のパターンがほとんどなのだそうです。

先ほども言いましたが、歌は訓練をすれば必ず上達します。
特に運動性音痴の人は、発声さえクリアすればいっぺんで上達します。
それ以上に、先ほどのように音楽の先生から「音痴」「下手クソ」宣言をされ、トラウマになってしまった人はもっと上達が早いでしょう。
歌う事をしていない(訓練していない)だけなのですから。

それでは、どんな訓練をすれば良いのでしょうか。運動性音痴とトラウマの人向けに簡単にレクチャーします。
まずは、腹式呼吸で正しい発声と豊かな声量を作ります。ストローで呼吸をすると腹式呼吸の練習になりますし、割る前の割り箸を口の両端にそれぞれ立ててくわえて声を出すと声帯と気道が空いてすんなりと声を出せるようになります。この感覚を覚えるのです。
次にピアノやギター等の楽器で音を1つ出し、その音と同じ音を出せるようにします。これは、最初は同じ音が出ればOKで、慣れてきたら同じ音を音程が変わらないように声を伸ばしていきます。(案外体力的にキツイです)
そして、1音から2音3音と増やしていって楽器と一緒に同じ音が出せるようになればカラオケデビューです。
カラオケには音楽に通じているか歌の上手な人と行きましょう。
そしたら音域の狭い歌を選んでくれるでしょうし、自分が無理なく出せる音域でキーコントロールをしてくれるでしょう。(^^)
1曲を選んだら何回も練習をするとリズムや息継ぎの場所がだんだん解ってきます。
練習をたくさんすれば自信がついてきます。フルコーラス歌詞を覚えた頃には自信がついて人前でも歌えるようになるでしょう。

自分が音痴だから歌わないと言う人は、それだけで1つのコンプレックスです。
会社の忘年会で無理矢理歌わされる状況が苦痛と恐怖に感じるでしょう。
しかし、訓練すればほとんどの人が音痴を克服出来るのです。その苦痛や恐怖がなくなるのです。

今回は音痴を例にとりましたが、他のコンプレックスも同様、自分で克服しようとするかどうかで自分が抱えている苦痛や恐怖から解放される可能性が拡がります。
やらないよりもやった方が自分にとって良い結果になるかも知れませんよ。
[1]週刊ココロコラム
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