省みる・その2

前回、「集中内観」のご紹介をしました。今回は続きです。(まだ読んでいない方はその1をどうぞ)

シンプルなテーマに沿って、1週間ひたすら過去を思い出す作業はなかなか難しいです。
最初のうちは、集中出来なかったり思い出せなかったりする傾向があります。そして、自分の側からの考え方にしばられます。
出されている課題ではない部分、例えば「迷惑かけられた事」がクローズアップされる事があります。
過去を思い出すうちに子供の頃の辛かった、悲しかった、寂しかった感情が噴出す場合もあります。
ほとんどの方が、内観を行う上で障害になったり抵抗する現象や心理が現れてくるのです。

しかし、それらを乗り越えると、思い出した内容を客観的に見れるようになります。
諸々の感情や思惑をなくした元々の自分をさらけ出せるようになります。
すると、こんな感情が湧いてきます。

「今まで迷惑いっぱいかけてた。してもらった事もいっぱいあった。それなのに自分がしてあげた事なんてほとんどなかった。申し訳ない」
自己中心的で自分本位だった為に、人に迷惑をかけていたと言う罪深い意識です。
そして、もうひとつの感情
「いっぱい迷惑かけてたのに、いっぱいしてもらっていた。ありがたい。」
罪深い自分を愛してくれた相手の愛情を痛感する気持ちです。そして、いろんな物事に対しての感謝の念も現れます。

精神医学の関係者はこのように述べています。
「内観療法のねらいは、過去の対人関係をめぐって 内観的な考え方を繰り返すことで、他人を傷つけた自分を罪深いものとして自覚することと、 またそんな自分を愛してくれた周囲の人たちの愛情を痛感することです。 そうすることで、自分本位であった事の発見と 愛されている事実を再認識することで、症状を 改善していきます。」

また、内観法を実践した方の多くはこう言います。
「目からウロコが落ちるほど考え方が変わった」「180度人生観が変わった」「悩みが消えて心が軽くなった」「性格が変わった」
悩みが消えたり性格が変わったのは自分自身の考え方が変わったからなのです。

私達は、必ず誰かの助けや援助(愛情)を受けています。しかし、自己中心的な人ほどそれを忘れていたり気付いていないのです。逆に自分がしてあげた事は覚えています。
そのために愛されている実感が湧かず、他の人に対して不信感を抱いたり、自分に自信を持つ事が出来なかったりします。
それが自己嫌悪、自己否定、コンプレックスや悩みと言ったもので現れるのです。

内観法、内観療法は最初の動機付けが大切と言われています。
そのため、きちんとした集中内観をするためには、しかるべき所で行う必要があります。
(実際にこの内観法を悪用したマインドコントロールもあります)

しかし、時には自分を「省みて」身近な人に対して
1.してもらった事
2.してあげた事
3.迷惑かけたこと
を思い出してみては如何でしょうか?
きっとほんの少しだけでも、相手に対して感謝の気持ちが湧いてくるかもしれません。
その感情は相手への為ではなく、自分のために良い感情なのです。
[1]週刊ココロコラム
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