発想チェック

15年以上昔の話ですが、作家の安部公房氏の特集をテレビで見た事があります。
「砂の女」「箱男」等の著作が有名な安部公房氏、幻想的でシュールで独特な世界観に私も一時期傾倒し、片っ端から読み耽っていました。
その番組で非常に印象的だったのは、小説の作り方でした。
安部氏は思い浮かんだ短い文章や言葉を、手のひら半分ほどの大きさの付箋紙に書き込んでは大きなコルクボードに貼り付けていました。
そして、付箋だらけになったコルクボードが出来上がると、今度はその付箋をバラバラにして順番を決めて貼り直して、作品の元にしていたのです。
番組では並び替えを終えたコルクボードを見つめてはしばらく考えて入れ替えたり貼り直す安部氏の姿が映し出されていました。
物語には起承転結があり、あらすじに肉付けをする等して順序立てて小説を作るのかな、と思っていた私にとってかなり驚きでした。

安部公房氏が使用していたやり方に非常に良く似た手法で「チェックリスト法」があります。
チェックリスト法とはアレックス・F・オズボーンと言う人が今から50年以上前に発案したものです。
オズボーン氏は「ブレーンストーミング」も発案しています。(詳細はコラムの第102回〜103回参照)

チェックリストは、旅行に行く時に必要な持ち物リストとか、作業手順の確認や、アンケート等でも目にしますね。
主に間違いや見落としがないよう「確認」する時に良く使われています。
チェックリスト法はチェックリストを創造的に使うのがポイントです。
その9つのチェック項目と簡単な説明を見てみましょう。

1.転用 他の使い道はないか、他の用途はないか、別の使用方法はないか
2.応用 過去に似たものはないか、他からのヒントはないか、他から真似できる事はないか
3.変更 意味、様式、形、回数、色、働き、成分、等々を変えたらどうか
4.拡大 大きくしたり、増やしたり、時間を増やしたり、長くしたり、高くしたり等々をしたらどうか
5.縮小 小さくしたり、減らしたり、時間短縮したり、短くしたり、低くしたり、分割等々をしたらどうか
6.代用 他の素材、過程、やり方、人、時間、場所、アプローチ、成分等々で代用できないか
7.再編成 順序、要素、配置、ペース、形、パターン、原因と結果等々を入れ替えたり再編成したらどうか
8.逆転 逆にしたらどうか、反対にしたらどうか、役割を変えたらどうか
9.結合 組み合わせたらどうか、ブレンドしたらどうか、アイデアを合わせたらどうか

アイデアが途中で行き詰ってしまった時や、何かの問題に対して良い解決方法をみつける場合、今ある物や方法等を改善したり応用する場合など、このチェックリストに照らし合わせて考えます。

例えば、プレゼントで綺麗な風呂敷を頂いたとします。 風呂敷は普段使わないので1.転用で他の使い道を考えると「スカーフ」「鞄」「カバー」等が浮かびました。
2.応用で「和風のトートバッグ」を思い出し、3.変更で「スカーフをバッグにする」と考えました。
9.結合でプリントが気に入らずに使っていないトートバッグの外側にこの風呂敷を合わせたらどうかと考えました。
2つを合わせて簡単に可愛いトートバッグに出来る方法はないかと3.変更や7.再編成などもさらに考えてみます。
そして、トートバッグの持ち手に風呂敷を結び合わせて組み合わせたら、とても可愛い和風トートバッグになりました。
これで頂いても使わない風呂敷だけでなく以前から使っていないトートバッグも一緒に使う事が出来るようになりました。
荷物が入りきらない時には風呂敷をはずしてトートバッグと風呂敷の2つの袋物としても使えます。

こんな感じで、チェックリスト法は新しい発想や視野が必要な時に使える発想法です。
チェックリストはオズボーン氏のものをご紹介しましたが、状況に合わせて自分で作っても良いですし、他の方が作られた用途の決まったチェックリスト等も多く存在します。
頭の中で考えが行き詰っている時に一度使ってみては如何ですか?(^^)
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